兵衛二丁目の南の端、相原方向に向って左手に、国道16号や御殿峠方面に抜けられる坂道が最近出来ました。
この坂道の登り口附近は、開発前には宇津貫町の和田内谷戸と言う所のほぼ中程に位置し、同じ様に16号方面に抜けられる細い坂道が畑の中を登っていました。新しく出来た道は、昔の道の登り口よりやや北に寄って造られているものの、山を巻く様な形は昔のそれと良く似ています。
昔(開発前)この細い坂道の登り口に、地蔵さんが赤い前掛けをつけてぽつんと立っていました。地元の人々からは「和田内の地蔵さん」と呼ばれ親しまれていました。現在この地蔵さんは、宇津貫町にあった多くの石仏と同じ様に、開発に伴い、熊野神社の境内に集められ大切に保存されています。地蔵さまはかなり損傷していましたが、その形は、衲衣の上に右肩から袈裟をつけているもので、この地域ではめずらしい「八王子南部の歴史と民俗・・・・住宅・都市整備公団(当時)による」と言われています。
この当りは秋ともなると、たわわに金色の穂をつけた水田が広がるのどかな農村でした。
和田内谷戸の名前は、北條氏がこの地を支配していた頃、綿を作っていたことから、「綿打谷戸」と呼ばれていて、これに由来するようです。
製作、著作・水越 恒雄