ＪＲ横浜線の前進横浜鉄道は、明治４１年に開通しています。古文書によると当時の宇津貫村の真中を鉄道が敷かれるに当って、駅建設の陳情を横浜鉄道会社に何度も行ったと記録されています。人口の少なかったこの村に駅が造られたのは、何とそれから１００年後、みなみ野の街の開発に併せて実現した現在のＪＲ八王子みなみ野駅です。
　「昔の風景」は現在のＪＲ八王子みなみ野駅東口側附近の昔の姿を表わしたものです。ちょうどこの当りが現在の駅のホームの八王子側になります。「現在の風景」でホームのすぐ下側を右手方向に通っている道路当りに重なる様に昔の宇津貫の生活道路が通っていました。車のすれ違いのやっと出来る位の道幅しかありませんでしたが、唯一の主要道路でした。駅の西口は風景の奥の山を切り開いて造られています。
　古文書の中に明治４１年鉄道開通時の列車の時刻表が大切に保在されています。これをみても当時の村人がどんな思いで列車を見ていたか、目に浮かぶようです。
この2枚の絵には知られざる宇津貫の歴史が刻み込まれています。

   製作、著作・水越　恒雄